手先を動かしながら、全体像をつかむのに最適
金融工学の本を読むと、オプション料の計算に使われる確率微分方程式が出てきて、いつも飛ばしてしまってましたが、少しは数学的意味を理解してみようと本書を読み始めました。
最初のうちは本格的な数学の説明に終始していましたが、Excelの操作法を交えた計算過程の説明あたりから何となく分かり始めました。でも、もともと私は文系出身者ですし、そういう数学から離れて約20年も経っているので、十分に理解できたかというとやはり心許ないのが正直な感想です。ただ、ブラック=ショールズも所詮は仮定の下のモデルに基づいた論理だと割り切れたこと、実際には理解し切れなかったがだいたいどの程度までの知識が必要なのかについての全体像はつかめた様な気がします。
金融数学で遊ぼう!
筆者も序文で述べているように、決して金融数学の参考書ではない。
むしろ、そういった受験参考書的な教科書を読んで理解したつもりになることを厳しく非難している。
本書は、Excelによって金融数学を題材にして遊んでみて、ブラック=ショールズ式が、理想化の産物であり、もてはやされている理由は、市場経済をぴたりと予測できるからではなく、簡単に扱えるという利便性の面で優れているからであると述べている。
どちらかというと、金融数学の入門書としてより、勉強に疲れた時の息抜きに使用するべき書である。そういったスタンスで眺めてみるとなかなかに興味深い。
市場予測の基本を知る一冊
まず、注意すべき点を一つ。最近は数式を使わない数理関連の本がもてはやされているそうだが、本書は遠慮なく数式を使うスタンスである。したがって、数学アレルギーのある人は覚悟して読む必要があるといえる。
さて、肝心な本書の内容はというと、“中心極限定理”という定理を基にして、株式市場やデリバティブ市場の予測手法をExcelを使いつつ解説するという感じである。個人的には、この市場予測の手法の解説は興味深かった。統計好きの人なら「この本を参照して、自分なりの市場予測モデルでも作ろうかなぁ?」という気にもなるかもしれない…。ただ、納得いかないのは、Excelの使い方を無駄に詳しく説明しているところである。個人的には、本書の読者はExcelの使い方など既知として、Excelの使い方は説明する必要がなかったと思う。
大事なことは何か
初歩レベルのExcelの操作方法の説明で随分ページ数を稼いでいる。 そんな分かりきったことを読みたい読者はいないはず。 中心極限定理を使うときに正規分布ではなく一様乱数を使っていたり、 Excelの分析ツールを使わずに正規分布乱数を計算させたり、 その説明はあまり丁寧ではなく、むしろ曖昧に煙に巻いている印象が強い。 「この著者は本当にわかって書いているのか?」と疑ってしまった。 大事なことは、Excelの操作方法ではなく、 著者のいう「中心金融定理」をExcelを使って 納得させることではないのか?
"数式を用いた"金融工学入門
数学は便利な道具だと思う。しかし、世の中の経済入門書には”数式を用いないこと”を売りにしているものが極めて多い。それだけ数式アレルギーの方が多いということだろう。ただ、マクロやミクロ経済学ならまだしも、数式を用いずに金融工学に入門することは極めて困難じゃないんだろうか。 本書は最初から大量に数式が登場する。そういう意味で、数式アレルギーの方にはつらいんじゃないかと思うかもしれない。しかし、本書には仕掛けがある。それは、Excelを駆使する点。数式に眠くなったらExcelで遊んでいればいいのだ。 そうこうするうちに、金融工学の入門書で神聖視されている場合の多いブラック=ショールズの方程式もたいしたことなく感じてくるから不思議。 著者のやや饒舌な語り口も、そっけない数式へのよい味付けとなっていると、読み終わる頃には感じられてきた。 なお、本書を読んでも、ブラック=ショールズ理論の応用、オプション価格問題等が解けるようになるわけでもない。あくまで、(ブラック=ショールズ方程式も包含される)確率微分方程式への入門書と捉えるほうがよい。ただし、ブラック=ショールズ理論に入門する前に本書を読むことは極めて有益だと思われる。
講談社
Excelで学ぶ金融市場予測の科学 ブラック-ショールズ理論完全制覇 笑ってわかるデリバティブ―金融工学解剖所見 金融工学マネーゲームの魔術 (講談社プラスアルファ新書) まんがで学ぶ超簡単デリバティブ Excelで学ぶデリバティブとブラック・ショールズ
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